睡眠障害とは
- 寝つきがわるい
- 朝早く覚める
- 途中で何度も覚める
- 昼夜逆転
- 寝ようとすると足がむずむずする
不眠、過眠、リズム障害、睡眠中の行動異常を含みます。一番訴えの多いものは不眠です。
不眠は健康であっても心配事がある場合などに見られます。問題となるのは、何週間も続いたり、眠気や頭痛などにより日常生活に支障が見られたりする場合です。夜間途中で目が覚めてもすぐに再入眠でき、日中の活動に支障なければ、治療の必要はなさそうです。
睡眠障害は、様々な身体疾患、精神疾患あるいは、薬剤やサプリメントによってもありうるものです。身体疾患で治療中のかたは、まずはかかりつけの医師にご相談することをお勧めします。
二次的なものではない睡眠障害をいくつか説明します。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時に頻繁に呼吸が停止し、睡眠が途切れ夜間不眠や日中眠気が生じます。イビキが激しく夜間不眠が見られる場合に疑われます。診断には詳しい検査が必要ですので、専門医療機関をご紹介しています。
むずむず脚症候群
入眠しようと床につくと、脚(主に脚ですが、他の体の部位もあります)がむずむずするなどの不快感を認め入眠困難となります。脚を動かすと不快感は収まります。治療薬剤があります。妊娠中や鉄欠乏による場合もあります。
周期性四肢麻痺
睡眠中に周期的に手足が自然に動き、不眠となります。こむら返りは足がつる状態で痛みを伴いますが、周期性四肢麻痺では痛みはありません。むずむず脚症候群と合併することもあります。詳しい検査で確定されます。
ナルコレプシー
通常では考えられない状況で、発作的に居眠りをすることが特徴です。体が脱力する発作も見られます。詳しい検査を受ける必要があります。
概日リズム睡眠障害
これには時差ぼけも含まれますが、日常的に大きな問題となるのは、交代勤務型と睡眠相後退型です。
交代勤務型は、勤務時間帯の大きな変化により睡眠のタイミングが乱れる状態です。夜勤明けにサングラスなどで遮光する工夫で、昼間の睡眠を確保することに役立ちます。
睡眠相後退型は、生体リズムの遅れにより睡眠時間帯が極端に遅くなっている状態で、学校や社会生活に大きな支障をきたします。入院治療を行っている医療機関もあります。
うつ病や統合失調症などで、引きこもりがちの生活からこのような状態になることもあります。
診断
問診で睡眠障害の具体的内容、生活習慣や職業などを伺います。精神疾患の一つの症状と診断されればその疾患の治療が、睡眠障害の治療につながっていきます。
診断・治療の必要に応じて、専門医療機関をご紹介する場合があります。
治療
不眠の治療について説明します。
睡眠に対して影響を及ぼすと考えられるカフェイン、ニコチン、アルコール、食事、パソコンなどの光刺激といった生活習慣が眠る前にある場合は、見直す必要があります。光刺激は体内に目覚める信号を送ることになります。アルコールは寝つくために徐々に量が増えていき、熟眠の妨げになることがわかっていますので、寝るために摂取することは避けましょう。睡眠薬との併用もやめましょう。また、寝よう寝ようと力むとかえって不眠になりますので、軽いストレッチや香り、音楽などご自分に合ったリラックス法をされるとよいでしょう。(その他、後述の厚生労働省ガイドラインをご参照ください。)
次に薬物療法を行うことが望ましいです。
不眠には、寝つきがわるい、朝早く覚める、昼夜逆転など、いくつかの状態があります。その状態に合わせて、薬剤を使い分けます。睡眠薬には作用時間の短いもの、長いものがあります。最近では、翌日への持ち越しやふらつきがほぼみられない睡眠薬もあります。その分、効果は弱めですが副作用が心配というかたには使用することもあります。睡眠薬の他に、抗精神病薬や抗うつ薬を使用することもあります。
薬物療法と並行して、お話を伺いながら必要に応じて助言をしていきます。
睡眠障害とデイケアセンター
治療によりある程度軽減がみられ、「朝起きられない」「昼間に体を動かしたいが何をしたらよいかわからない」「睡眠リズムを維持したい」など規則正しい生活を送る目的で利用可能です。デイケア活動を通して、不眠の原因となるストレス対処方法を発見したり、これまでのご自身の生活を振り返ったり、リラクゼーションを促すなどさまざまなサポートを行います。
睡眠障害対処12の指針
(厚生労働省 ガイドライン)抜粋
- 睡眠時間は人それぞれ、日中眠気で困らなければ十分
- 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
- 眠くなってから床につく、就床時刻にこだわりすぎない
- 同じ時刻に毎日起床
- 光の利用でよい睡眠
- 規則正しい三度の食事、規則的な運動習慣
- 昼寝するなら、15時前の20〜30分
- 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
- 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
- 十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に
- 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
- 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全